Japan Society for the Promotion of Science
Program for Constructing Data Infrastructure for the Humanities and Social Sciences
Institute of Economic Research, Hitotsubashi University

National Survey of Family Income and Expenditure

概要

全国消費実態調査は家計における消費、所得、資産及び負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布及び消費の水準、構造等を全国的及び地域別に明らかにすることを目的に、1959年以来5年ごとに実施される調査である。
調査結果は、全国及び地域別,世帯属性別などに集計・公表され、介護・年金等社会保障政策の検討などの基礎資料として利用されているほか、地方公共団体、民間の会社、研究所などでも幅広く利用されており、ジニ係数など所得の分布を表わす指標についても提供している。
類似した調査である家計調査との主な違いは、全都市および全町村を母集団に単身者世帯を含む世帯数を全国推計資料として十分なレベルでの標本数に拡大を行い、地域別での利用が可能な点である。3か月の調査期間が設けられ、家計収支及び耐久消費財の所有数量を同一世帯について継続調査を行うことにより、新市および郡部を含めた全国の詳細な資料を得るとともに、府県別などの地域別資料も利用できるようになった。
全国消費実態調査は平成26年の調査を最後とし、調査を全面的に見直した上で令和元年(2019年)から「全国家計構造調査」として実施しているが、当ページでは初回調査から1999年調査までを公開範囲とするため、旧名称の全国消費実態調査として公開することにした。
参考:総務省統計局の全国消費実態調査ウェブサイト

各調査

西暦 和暦 調査 備考
1959年 昭和34年 9月~11月 昭和34年全国消費実態調査  農漁家を除く全国の消費者世帯の家計収支を調査し、国民の所得分布、消費水準および消費構造に関する全国推計資料を得るとともに、その地域的な差異を明らかにすることを目的に実施された。
類似した調査である家計調査は全国28都市、約4000の標本世帯について毎月調査されているが、その母集団は人口5万以上の都市と限られるとともに単身者世代が含まれないことなど、全国推計資料としては必ずしも十分ではなく、標本数が少ないため、地域別にはほとんど利用できなかった。
そこで全国消費実態調査は、全都市および全町村を母集団に単身者世帯を含む約31000世帯を抽出し、3か月間の家計収支および耐久消費財の所有数量を調査したものである。
これによって、新市および郡部をも含めた全国の詳細な資料を得るとともに、府県別などの地域別資料も利用できるようになった。
2人以上の普通世帯については9月から11月の3か月間、単身者世帯については10月から11月の2か月間、同一世帯について継続調査した。
当年度の調査は第1回であり、実施頻度は5年毎に設定された。
1964年 昭和39年 9月~11月 昭和39年全国消費実態調査  流通機構の変革による消費生活の影響の調査するべく、家計で購入した品目の購入先に関する事項が追加された。
9月、10月の収入支出を主な調査対象にした「甲」と11月のみ購入先について主に調査を行う「乙」の二種類からなる家計簿が導入される。ただし、家計簿乙の調査対象から単身者は除かれた。
1969年 昭和44年 9月~11月 昭和44年全国消費実態調査  家計の資産面を明らかにするため、貯蓄現在高及び借入金現在高と住宅・土地の取得計画に関する事項の調査が今回調査から行われた。
また、調査対象の選定にて「調査地区」が新たに追加されたこと、勤労者世帯以外の一部世帯も調査対象になった。
1974年 昭和49年 9月~11月 昭和49年全国消費実態調査  家計簿が従来の甲・乙の2種類から、さらに丙が追加される。
住宅・土地に関する事項の調査として、昭和44年調査に実施された取得計画に加えて、今回調査から取得実績も調査事項に加えられた。
家計簿丙は「収入および支出調査票」と呼ばれる別称が用意され、単身者世帯の調査に用いられた。
これまで調査対象から農林漁業を営む世帯は調査対象から除外していたが、今回調査から世帯主が専らまたは主として農林漁業を営む世帯以外の世帯を調査対象として含めた。
また、昭和47年5月に沖縄県が復帰したため調査対象に沖縄県が加わる。
1979年 昭和54年 9月~11月 昭和54年全国消費実態調査  耐久財に対する調査票と年収・貯蓄に関する調査票が統合されて、耐久財・貯蓄・年収調査票となり、二人以上の普通世帯と単身者世帯のそれぞれ2種類が調査に用いられるようになる。
これまで主要耐久消費財の調査品目とされた衣料品が調査品目から除外された。また、家具類を除く主要耐久消費財の購入形態、特定5品目の買い替え理由及び買い替え前の品の使用年数が今回調査から調査された。
1984年 昭和59年 9月~11月 昭和59年全国消費実態調査  調査規則である全国消費実態調査規則が全面改正される。
今回の調査では月賦・クレジットカードによる購入形態の調査が新たに行われた。
また、総務庁設置法および総理府設置法の一部を改正する等の法律の施行にともない、総務庁所管調査となる。
1989年 平成元年 9月~11月 平成元年全国消費実態調査  甲・乙・丙の3区分ごとに用意されていた家計簿様式は、区分の廃止により一つに統合される。
二人以上の普通世帯に限り、18歳以上の世帯員のこづかいの収入と支出の調査が新たに実施された。
1994年 平成6年 9月~11月 平成6年全国消費実態調査  販売システムの変化に伴う、コンビニエンスストア、ディスカウントストア、通信販売など新しい店舗および販売形態の目覚ましい増加により、世帯の消費行動に与える影響を明らかにするために、昭和59年調査以来の購入先調査を実施した。
そのほか、高齢化に伴い増加している高齢無職世帯や女性の社会進出に伴って増加している共働き世帯など、世帯の種類を特定してその消費構造を明らかにした。
1999年 平成11年 9月~11月 平成11年全国消費実態調査  甲・乙という名称で2種類存在した家計簿が、今回調査より日本語版の家計簿も家計簿A・Bという名称に変更される。
家計簿Aは主に収入と支出の記入、家計簿Bは生活用品の購入先に関する事項の記入するという用途で調査に用いられた。
家計簿Aによる調査は9月、10月(単身世帯は10月のみ)、家計簿Bによる調査は11月に実施された。
こづかい帳は今回調査より個人収支簿に名称が変更される。

以後は総務省統計局ウェブサイトを参照。